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前歯のすき間と変色した詰め物は、削らずに1回で直せる?【症例解説】

ダイレクトボンディングによる前歯のすき間と変色した詰め物の治療。左が治療後、右が治療前

結論: この方(40代女性)は、歯の色の樹脂を直接盛り足す「ダイレクトボンディング」で、前歯の真ん中のすき間(約1.5mm)と変色した古い詰め物を、1回の来院(約100分)で整えました。かぶせ物のために歯を大きく削ることはしていません。

この記事のポイント

  • すき間は約1.5mm。左の前歯は神経のない歯で変色し、右の前歯との色の差が目立っていた
  • ほかの歯並びに乱れがなかったので矯正はせず、歯を大きく削るセラミックも選ばなかった
  • すき間を埋めると歯の横幅が増えるため、長さと縦横の比率を計算してから形を整えた

歯科医師:遠山大輔 / 更新日:2026年11月8日

目次

この症例の概要

項目 内容
年代・性別 40代・女性
ご相談 前歯のすき間と、詰め物のまわりの変色
治療内容 ダイレクトボンディング(自由診療)
治療期間 1回(当日完了・約100分)
費用 220,000円(税込・前歯2本分)
担当 院長 遠山 大輔

真ん中の線を左右に動かすと、治療前と治療後を見比べられます

症例一覧・症例集と同じ写真です。結果には個人差があります。

ご相談の内容

前歯の真ん中のすき間と、左の前歯の変色が、どちらも気になっていた方です。ただ、セラミックのかぶせ物で歯を大きく削ることに抵抗があり、しばらくそのままにしていたそうです。

検査で分かったこと

  • すき間は約1.5mm:上の前歯の真ん中にすき間がありました(正中離開〈せいちゅうりかい〉、いわゆるすきっ歯)。
  • 左右の色の差:左の前歯は、神経のない歯(失活歯〈しっかつし〉)でした。神経のない歯は、内側から暗く変色することがあります。右の前歯は神経のある歯で、左右の色の差がとても目立っていました。
  • 前歯の長さ:真ん中の2本の先(切縁〈せつえん〉)が、となりの2番目の歯より短く、見た目に目立っていました。
  • ほかの歯並び:真ん中の2本の長さとすき間のほかには、歯並びの乱れはありませんでした。

考えた方法と比べ方

方法 よいところ 気をつけたいところ
矯正で歯を寄せる 自分の歯を動かしてすき間を閉じる 期間がかかる。この方は、ほかの歯並びの乱れがなかった
セラミックをかぶせる 色と形を大きく変えられる 健康な部分も含めて歯を削る量が多い。型取りから装着まで何度か通う
ダイレクトボンディング 歯をほとんど削らず、多くはその日に仕上がる 年月とともに変色・すり減りがあり、みがき直しが必要になることがある

この方がダイレクトボンディングを選んだ理由

直したいのは真ん中の2本の長さとすき間だけで、矯正は必要ありませんでした。セラミックは削る量が多く、ご本人も望まれず、年齢も考えてダイレクトボンディングにしました。

治療の流れ(1回・約100分)

  1. 形を決める:前歯の先の長さを、となりの2番目・3番目の歯から逆算して決めます。すき間を埋めると歯の横幅が増えるので、歯ぐきの境目から先までの長さとの縦横の比率も計算しておきます。
  2. 古い詰め物を外す:変色した古い詰め物(樹脂)を、必要な分だけ取り除きます。
  3. 歯に樹脂をくっつける準備:樹脂がしっかり付くように歯の表面を整えます(接着の方法は、別の記事でくわしくご説明する予定です)。
  4. 樹脂を盛り足す:歯の色の樹脂を少しずつ重ねて、すき間を埋め、先の長さを整えます。左の歯の変色は、樹脂の重ね方で見えにくくします。
  5. みがいて仕上げる:形と噛み合わせを確かめ、つやが出るまでみがきます。

使った材料:接着剤「クリアフィル メガボンド2」(クラレノリタケデンタル)、歯の色の樹脂「エステライト アステリア」(トクヤマデンタル)、仕上げのみがき「エステポリッシャー トルネード」(トクヤマデンタル)。

当院の診療室では

この症例でいちばん気をつけたのは、左の前歯の変色をどう隠すかです。変色を隠すには古い詰め物を外す必要がありますが、削る量はできるだけ少なくしたい。一方で、色をしっかり隠そうとすると、今度はほかの歯より白くなりすぎてしまいます。「削る量」「変色を隠すこと」「まわりの歯と色をそろえること」の3つの釣り合いをとるところが、私がいちばん時間をかけるところです。

治療のあとと、長持ちさせるために

持ちの目安は5〜10年です。欠ける・欠けないだけでなく、つやや色が落ちて、みがき直しが必要になることもあると、治療の前にお話ししています。年齢とともにほかの歯の色も変わるため、3〜4か月に1回のメンテナンスで確かめていきます。歯ぎしりから守るため、寝るときのマウスピース(ナイトガード)もおすすめしています。

費用と期間

治療内容 回数・期間の目安 費用(税込)
ダイレクトボンディング(この症例・前歯2本) 1回(約100分) 220,000円

今の料金の目安はなるべく削らない治療の費用一覧をご覧ください。歯の場所や範囲で変わります。

主なリスク・副作用

  • ダイレクトボンディング:天然の歯より着色しやすく、飲食物や喫煙などで年月とともに変色することがある。強いかみ合わせや歯ぎしりで欠けたり外れたりすることがある(その場合は修理が必要)。治療後に一時的にしみることがある。すき間の大きさや歯の形・噛み合わせによっては向かず、矯正治療やセラミックをご提案することがある。長く良い状態を保つには、定期的な検診とクリーニング、みがき直しが必要。

自由診療(保険適用外)です。

当院の考え方

歯は一度削ったら元に戻りません。かぶせる前に「足して直せないか」を考え、方法を並べてご説明します。

よくある質問

Q. 神経のない歯の変色も、ダイレクトボンディングで目立たなくできますか?

A. この症例では、変色した古い詰め物を外し、樹脂の重ね方で変色を見えにくくしました。変色の強さや歯の状態によって、向き不向きがあるため、検査をしてからご説明します。

Q. すき間を埋めると、前歯が大きく見えませんか?

A. 横幅だけが増えると大きく見えるため、この症例では前歯の先の長さもあわせて整え、縦と横の比率を計算してから形を決めました。

Q. どのくらい持ちますか?

A. 目安は5〜10年です。欠けることだけでなく、つやや色が落ちてみがき直しが必要になることもあるため、3〜4か月に1回のメンテナンスで確かめていきます。

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この記事を書いた人

あい歯科 矯正・こども歯科(千葉県酒々井町)院長。歯科医師。東北大学歯学部卒業、2011年開院。
インビザライン プラチナエリート(300症例以上・症例数 全国上位5%)。子どものマウスピース矯正「インビザライン・ファースト」を得意としています。
ダイレクトボンディングは、田代浩史 臨床教授(東京科学大学・徳島大学)が主宰し、田上順次 名誉教授(東京科学大学)も講師を務める「DRC浜松」のアドバンスコースを修了。
日本接着歯学会・日本小児矯正研究会 会員。「削らない・抜かない・予防で歯を残す」診療を続けています。

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